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【王佐の才(4):愛情】
  

 帝王の補佐をするのに相応しい才能がある人物という意味。
 歴史上の人物でいうと、
 三国志の諸葛亮孔明、
 豊臣秀吉の軍師である竹中半兵衛、
 等が王佐の才を持っていた人物として有名であろうか。


 企業において、
 カリスマ的な社長と、王佐の才を持ったナンバー2がタッグを組んだ時、
 圧倒的なパワーを発揮する。

 このシリーズでは、
 そのナンバー2たる王佐の才を持った企業人達を取り上げたい。


 「盛田昭夫」


 SONYの創業者で、
 井深大社長の後をついで、
 SONY2代目社長となり、
 SONYを世界のSONYに仕立て上げた偉大な経営者。

 盛田昭夫というと、
 初代の井深大よりある意味有名で、
 「王佐の才」を持つ経営者というより、
 ワンマン経営者のイメージが強い。

 しかし、SONY創業時代は
 井深大社長を補佐する見事なナンバー2ぶりを発揮した
 「王佐の才」を持った経営者だった。


 井深・盛田コンビの素晴らしさ、
 それは、
 
 「愛が深かった事」


 カリスマ的な社長と、
 社長を補佐する王佐の才を持ったナンバー2を支える関係は、
 報酬や、上下関係や、権力、
 そんなものでは真の意味でのパートナー関係を作る事は出来ない。

 お互いに尊敬しあい、
 長所を認め、短所に目をつむり、
 人間愛に近い愛情を持っていて初めて強固な関係が作れるのだと思う。

 井深大と盛田昭夫のコンビは、
 その意味で創業者コンビには珍しいほどの
 人間愛に満ちた愛情をお互いに持っていたのだと思う。

 技術の井深に、
 営業・経営戦略の盛田。

 同じようなコンビの組み合わせに
 ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫のコンビがある。
 しかしこのコンビは人間愛というより、
 お互いのライバル心が強く、それが企業の原動力となった。

 ところが井深・盛田のコンビは
 強い人間愛というか、信頼感によって企業の原動力を作った。

 真逆の2人であったがために、
 お互いの考えを理解できないこともあっただろう。
 経営手法や仕事の進め方も違っただろう。

 だけど、
 それでもお互いの良さに目を向けて、
 人間的に尊敬し合えた。
 だからSONYはあそこまで大きくなる事が出来た。


 井深大は脳梗塞でこの世を去る。
 くしくもその時、同じ創業者の盛田昭夫も同じ脳梗塞で苦しんでいた。

 井深の死を聞いた時、
 盛田は大声を上げて泣き叫んだという。

 井深大の葬儀の際、
 すでに話すことも出来なくなっていた盛田が書いた手紙が読み上げられた。

 「井深さん、とうとうあなたは1人で新しい世界に旅立ってしまいました。
  あなたに始めてあって50余年。
  2人で会社を作って51年。苦しい時も楽しい時も2人いつも一緒でした。
  今、2人は離れ離れになってしまいましたが、
  井深さんは新しい世界から、私はこの世の中に留まって、
  次の世代の若者がどのようにこの難しい世の中を乗り切っていくかを、
  じっくりと見つめて参りましょう。
  『さよなら』とはいいません。またいつかお会いできる日が来るでしょう。
  それまでしばらくのお別れです。
  そして私は改めて、私にこんなにも素晴らしい人生を与えてくれた井深さんに
  心からお礼を申し上げます。
  井深さん、本当にありがとう御座いました   」

 「王佐の才」


 それは時につらく、
 それは時に泥を被り、
 それは時に自分を犠牲にし、
 それは時に認められない。

 そんな王佐の才を持つ人の気持ちを支えるもの、
 それが社長への愛情なのだと思う。

 お金じゃない。
 権力でもない。
 名声でもない。

 情深き人。
 それが王佐の才を持つ人なのかもしれない。


 愛情を深く。
 ビジネス本などでは語られる事などほとんど無いこの要素が、
 王佐の才を持つ人には必要なのだと思う。






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